大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(う)3860号 判決

被告人 矢館敏之

〔抄 録〕

しかしながら本件処罰の準拠法たる麻薬取締法にはその第六十八条に没収に関する特別の規定が存し、本件のような違反行為があつた場合には犯人が所有し又は所持する麻薬は必ず没収しなければならないこととなつており、ただその但書において、犯人以外の所有に係るときは没収しないことができると自由裁量の余地が残されているにすぎないのである。即ち麻薬取締法第六十八条は刑法第十九条第二項に対する特別法の関係に立つものであるから犯人の所持する麻薬を没収する場合には専ら麻薬取締法第六十八条に準拠すべきであつて刑法第十九条第二項を適用すべきでないことは言を俟たないところである。記録に徴すると、所論指摘に係る本件領置中の麻薬一包(昭和二十八年地領第二三七号の一)は被告人が原審相被告人矢館小糸と共謀の上法定の除外事由がないのに営利の目的で他から買入れ所持していたものであることが認められるから、原審が麻薬取締法第六十八条を適用してこれを没収したのは固より適法且当然な措置であつて所論のような法令の適用を誤つた違法の点あるを見ない。論旨は理由のないものである。

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